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経営者を目指している人であれば、起業に関する知識やノウハウを学べる本を何冊も読んでいるかもしれません。読書はコストパフォーマンスに優れた学習法ですが、どのような本を選べばよいか迷う人も多いでしょう。今回は、Amazonなどでもレビュー評価が高い「起業本」の良書を12冊、分野ごとに紹介します。

起業について本から学ぶメリット

起業に関する本を読むと、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。良書を読むことで得られるメリットをまとめました。

ロールモデルを見出せる

起業した会社のうち、90%以上は10年以内に倒産するといわれています。起業した会社を拡大・成長させる確率を高めたい場合、過去に成功した経営者からロールモデルを学ぶのが有効です。

成功事例だけでなく、重ねてきた失敗にも着目して読むことで、より実践的なロールモデルを習得できるでしょう。

起業に役立つ思考を習得できる

過去にサラリーマンとして成功していると、雇用される側の常識や思考が起業の際に邪魔になることがあります。経営者として事業を立ち上げたら、最初のうちは集客や営業、事務などの業務をすべて自分で行う必要があります。もちろん、休日の過ごし方もサラリーマン時代とは大きく変わるでしょう。

起業の本を読んでイメージトレーニングをしておけば、このような意識の違いを起業前に理解できるでしょう。

経営や財務を体系立てて学べる

サラリーマンとして働いていると、経営や財務は専門の部署に任せきりになりがちです。事業目的を達成するための計画立案と意思決定を行う「経営」や、実際に行動を起こす前の予算管理や資金調達を担う「財務」は、どちらも事業活動に欠かせない仕事です。

これらの仕事についての知見がまったくないと、起業後に苦労するでしょう。起業を考えているのであれば、早い段階で経営や財務の本を読んで知識を得ておくことをおすすめします。

ロールモデルを見出すための本ベスト3

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まずは、経営者のロールモデルを見出したい場合におすすめの本を紹介します。

渋谷ではたらく社長の告白(藤田晋)

藤田晋氏はブログサービスの「Ameba(アメーバ)ブログ」やインターネットテレビ「Abema(アベマ)」などを展開するメガベンチャー企業のサイバーエージェントの代表取締役であり、2000年3月には26歳で当時の最年少記録となる東証マザーズ上場を成し遂げた経営者として有名です。この本は、そんな藤田氏が起業初期の頃について書いた一冊です。

起業当時に続出したトラブルや資金繰りでの苦労など、ニュースだけでは知ることのできない経営者の苦悩を学べます。

こんな僕でも社長になれた(家入一真氏)

著者の家入一真氏は、ユーザー数約50万人のレンタルサーバー「ロリポップ」で知られるpaperboy&co.(現GMOペパボ)創業者であり、他にもクラウドファンディングサイト「Campfire(キャンプファイヤー)」、ブックレビューコミュニティ「ブクログ」など数々のトップサービスを立ち上げた起業家です。

この本は家入氏のサクセスストーリーに加えて、人生の壁に悩む人に成功のヒントを与えてくれる内容になっています。家入氏の過去の描写が印象的であり、経営者が辛い時に取るべき行動が学べます。

起業の天才!(江副浩正)

時価総額9兆円以上の大企業リクルートの創業者、江副浩正氏の書籍です。リクナビやホットペッパー、じゃらんなどの前身となるサービスは、実は江副氏が昭和時代から構想していたことが本書で明らかにされています。

スーパー起業家ともいうべき江副氏が、学生時代には劣等感の塊だったといったエピソードも語られています。天才と呼ばれた経営者の過去を知ることは起業に役立つはずです。

企業に役立つ思考を習得する本ベスト3

次は、経営者に必要な思考のトレーニングに役立つ本を3冊紹介します。

すべての働く人のための新しい経営学(三谷宏治)

「経営学」は、「経営戦略」「マーケティング」「アカウンティング」「ファイナンス」「人・組織」「オペレーション」といった専門分野を集めた学問です。そのため、経営学は全体像を理解しづらいといわれていました。

本書は、そんな経営学をビジネスの目的別に再構築した画期的な入門書です。独自のビジネスモデルを有する複数の企業や事業が取り上げられており、誰でも簡単に「経営視点」を会得できる内容になっています。

センスのいらない経営(福島良典)

ニュースアプリ「グノシー」の創業者、福島良典氏の初となる著書です。グノシーは、創業からたった2年半で上場を果たしたことで知られています。

福島氏はこの本で、経営者の経験値や勘、センスよりも、テクノロジーを正しく理解して経営に取り入れる必要があると主張しています。今後、上場を視野に事業を成長させたい人は必読です。

ダンゼン得する知りたいことがパッとわかる 起業と会社経営の実務がよくわかる本(古田真由美)

税理士の古田真由美氏と社会保険労務士の平真里氏が、会社設立時に経営者が直面しやすい数々の経営課題について解説している本です。特に、会社を設立した後に必要な業務フローについて詳しく書かれています。

どのように給与を決めればよいか、社会保険はどのような手続きをすればよいかなど、基本から書かれているため、手元に一冊あると安心です。

経営や財務を体系立てて学ぶ本ベスト3

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経営者に必要な経営や財務について学ぶなら、ぜひ読んでおきたい本を3冊紹介します。

起業の科学 スタートアップサイエンス(田所雅之)

本書は、スタートアップ企業を成功させるための方法論について解説しています。著者の田所雅之氏は、「スタートアップ企業の成功と失敗を分けるのは、顧客から愛される商品作り」と述べています。

顧客の課題を明確にして、顧客が本当に欲しいものから逆算する商品作りを学ぶのに最適です。

イシューからからはじめよ(安宅和人)

外資系コンサル会社のマッキンゼーで4年間勤めた後、イェール大学で脳神経科学を研究し、YahooのCSOなどを経験した安宅和人氏が、人材の生産性を高める方法について解説しています。

安宅氏は、「生産性の高い人材になるためにはイシューの理解が必要」と述べています。本書を通じて、物事の本質を見極める力を身につけましょう。

起業を考えたら必ず読む本(井上達也)

クラウド型の会計処理ソフトの数々を無料でリリースしているフリーウェイジャパンの代表取締役、井上達也氏が自らの起業の経験談をまとめた本です。

井上氏の体験に基づくシビアな起業のリアルが描かれており、独自の視点で経営の本質をまとめています。

自社のフェーズに合った起業本から学ぼう

どの本を読むべきか迷った時は、まず自分や会社の状態を把握しましょう。強みを伸ばすのか、弱みを補うのか、目的意識を持って本を選ぶことで、単なる知識ではなく次の行動につながる学びを得られます。

今回紹介した本は、これから起業する人だけでなく、すでに企業を経営されている人にとっても、基本に立ち返る際に役立つでしょう。本記事を参考に、自分に最適な本を選んでください。