電子請求書とは

電子請求書とは、従来は紙に印刷していた請求書を電子データ化したもののことです。紙の請求書と異なり印刷も郵送も不要で、請求書の作成から送付までを、メールやクラウドサービスを使ってWebで完結できます。

また、紙の請求書を電子データ化し、保管することもできます。詳しくは後述しますが、請求書の電子保管により、保管スペースの削減や請求書管理の効率化ができるでしょう。

電子請求書に関する法律「電子帳簿保存法」

電子請求書に関する法律として、「電子帳簿保存法」が挙げられます。これは電子請求書を受領した際の保管・管理の用件を定めた法律です。

電子受領した請求書は電子データのまま保管しなければならないこと、紙の請求書をスキャンし電子保存する方法などについて定められています。

電子保存については「真実性の確保」と「可視性の確保」が必要です。これらの要件については、国税庁のWebページで確認できます。

電子請求書のメリット

紙の請求書から電子請求書に切り替えることで、請求書のやりとりや管理がスムーズになり、コスト削減にもつながります。その理由を、電子請求書の5つのメリットと併せて解説します。

請求書の作成・送付がスムーズになる

電子請求書の1つ目のメリットは、「請求書の作成・送付がスムーズになる」ことです。

紙の請求書はPCで作成したものを印刷し、取引先に郵送しなければなりません。郵送のための封筒を用意し、宛名も書かなければなりません。請求書の内容や取引先の記入などに不備があれば、「返送→訂正→再送付」の手間も生じます。

Webで請求書の作成から送付までを完結できる電子請求書なら、これらの手間はありません。印刷・郵送・宛名書きがないのはもちろん、不備訂正も郵送を待たずにすぐにできます。

請求書の送付や受領が遅れ、支払いのタイミングがずれてしまうことも少なくなるでしょう。

請求書の管理がしやすくなる

電子請求書の2つ目のメリットは、「請求書の管理がしやすくなる」ことです。

電子請求書は請求書の発行年月日や勘定科目、取引金額、取引先などの条件で検索できます。紙の請求書のように、目的の請求書が保管されているキャビネットやファイルを探したり、ファイルに挟まれた請求書を一枚ずつ確認したりする必要はありません。

保管スペースが不要になるのも大きなメリットです。紙の請求書を電子化すれば原本を不要になります。そのため、紙・電子すべての請求書をシステム上で保管することもできます。

バックオフィスの業務効率化

電子請求書の3つ目のメリットは、「バックオフィスの業務効率化」です。

先述の通り、電子請求書は作成から送付までWebで完結し、保管・管理もシステム上で行えます。請求書の印刷・郵送・封筒の宛名書き、キャビネットやファイルから請求書を探したり整理したりといった業務がなくなり、バックオフィス業務を大きく効率化できるでしょう。

リモートワークの促進

電子請求書の4つ目のメリットは、「リモートワークの促進」です。

電子請求書はメールやシステムを使い、Webで送付・受領できます。クラウド型の電子請求書システムを使えば、場所も時間も問わず、Webから請求書の作成・共有・確認ができます。

請求書を受け取ったり、上長に内容を確認してもらったりするために出社する必要はありません。請求書回りの業務のために出社することがなくなり、より働きやすい環境をつくれるでしょう。

コスト削減

電子請求書の5つ目のメリットは、「コスト削減」です。

先述の通り、電子請求書には印刷も郵送も必要ありません。請求書の保管スペースも不要です。これらにかかっていた費用をそのままカットできるでしょう。

 

電子請求書のデメリット

電子請求書はとても便利で、多くの企業が請求書の電子化を進めています。

しかし、電子請求書にはデメリットもあります。電子請求書の3つのデメリットと、その解決策を紹介するので、これらを踏まえて電子化を進めていきましょう。

取引先の協力が必要

電子請求書の1つ目のデメリットは、「取引先の協力が必要」なことです。

請求書の電子化に消極的な取引先もいるかもしれません。「今までどおり紙の請求書を送ってほしい」「紙の請求書を送りたい」という取引先が多ければ、請求書の電子化はあまり進められないでしょう。

ただ、電子請求書は紙の請求書に比べて管理しやすく、送付にかかる時間もコストも少ないです。これらのメリットを伝えること、取引先にとって使いやすい電子請求書システムを導入することで、電子化への理解を得やすくなるでしょう。

従業員の教育コストがかかる

電子請求書の2つ目のデメリットは、「従業員の教育コストがかかる」ことです。

電子請求書システムを導入する場合、その使い方を従業員に覚えてもらわなくてはなりません。紙で受領した電子保存する場合はそのための要件を満たす必要があります。特に従業員のITリテラシーが低い場合、大きな教育コストがかかるでしょう。

請求書の電子化をスムーズに進めるには、従業員にとって使いやすい電子請求書システム・サービスを導入するのがおすすめです。

電子請求書サービスの中には、紙の請求書の受領や電子化を代行してくれるものもあります。このようなサービスを活用することで、従業員の教育コストだけでなく、電子化にかかる手間も小さくできるでしょう。

導入方法によってはセキュリティリスクが高まる

電子請求書の3つ目のデメリットは、「導入方法によってはセキュリティリスクが高まる」ことです。これは特に、自社で請求書を電子化する場合に気になるデメリットです。

電子請求書はWebを介して送付・受領し、PCやサーバーなどの端末に保管されます。Webを介すること、ネットワークにつながった端末に保管される以上、不正アクセスやサイバー攻撃のリスクをゼロにすることはできません。

セキュリティリスクが気になる企業、自社で十分な対策をする自信がない企業には、電子請求書システムを導入するのがおすすめです。

電子請求書システムの多くは万全のセキュリティ対策が施された、安心して利用できるシステムです。クラウド型のシステムは、ベンダー(システムの提供会社)がシステムの保守やアップデートを行ってくれます。自社で保守・管理する手間がなく、安心して利用できるでしょう。

電子請求書を導入する方法

電子請求書を導入する方法は「自社で電子化する」「電子請求書システムを導入する」の2通りあります。法改正への対応やセキュリティリスク、運用のしやすさなどを考えると、電子請求書システムの導入がおすすめです。

自社で電子化する

自社で電子請求書を作成したり、紙で受領した請求書を電子データ化して保存したりする方法です。

専用のシステムを使わずに電子請求書を作成する場合、ExcelやWordなどで作った請求書をPDF化し、メールで送付するのが普通です。取引先ごとにテンプレートを作っておくと、作成の手間が軽くなるでしょう。

紙で受領した請求書を自社で電子化・管理する場合、ファイル名に規則性を持たせるなどして、請求書を検索できるようにしなければなりません。

紙の請求書を印刷したりスキャンしたりする機器の性能、電子請求書を保管する端末に関する要件なども細かく定められており、手間がかかるでしょう。電子帳簿保存法は定期的に改正されるため、法改正もチェック市対応しなければなりません。

なお、請求書を電子保存するための要件は国税庁のWebページから確認できます。これらの要件は法改正により変わることもあるため、定期的に確認しましょう。

電子帳簿保存時の要件|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/05.htm

電子請求書システムを導入する

電子請求書システムを導入することで、少ない負担で請求書の電子化を進められるでしょう。

電子請求書システムの多くはクラウドサービスで、ブラウザから請求書を作成・管理できます。作成した請求書はPDFでダウンロードしてメールで送付したり、印刷して郵送したりできます。

システムを使って作成した請求書の印刷・郵送を代行してくれるサービス、紙の請求書を代理で受領・電子化してくれるサービスなど、付帯サービスもさまざまです。請求書の発行数が少なければ、無料で利用できるシステムもあります。

システムの保守やアップデートはもちろん、法改正への対応も基本的にベンダーに任せられます。

請求書発行数や電子化の進み具合などを踏まえ、自社に合ったサービスを導入することで、請求書回りの業務を大きく効率化できるでしょう。

請求書の電子化には、電子請求書システムがおすすめ

業務効率化やコスト削減を考えれば、請求書の電子化は早めに進めた方がいいでしょう。昨今は「サステナブル」「SDGs」などの考え方が社会に浸透しました。紙資源の削減、つまりSDGsに対応するためにも、請求書の電子化は大切です。

ただ、電子請求書に関する法律「電子帳簿保存法」は、5~10年ほどのスパンで定期的に改正されています。請求書の電子保存の要件は細かく、自社で対応するには大きな負担がかかるでしょう。

これらの負担やセキュリティリスクを考えると、多少のコストがかかっても、電子請求書システムの導入がおすすめです。

契約書の管理や電子化はもちろん、ワークフローなどの機能を備えたシステムも多いです。自社に合ったシステムを導入することで、業務効率化やコスト削減などの効果は最大化されます。システムにかかるコストよりも、削減できるコストが上回ることも多いです。