個人事業主の資金調達におすすめの融資

資金調達といえば、まずは融資が思い浮かぶ人も多いでしょう。融資ならまとまった金額を、比較的確実に調達できます。開業してしばらく経っていて、個人事業主としての実績がしっかりしているなら、審査にも通りやすいでしょう。

個人事業主の資金調達におすすめな融資先には、次のようなものがあります。

【個人事業主の資金調達におすすめな融資】 ・日本政策金融公庫 ・制度融資 ・信用金庫 ・ビジネスローン

 日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、ほかの機関と比べて金利が低めで、返済期間も「5年以上~」と長めです。さらに、国が100%出資する政府系機関であるため、安心感があります。

原則として無担保・無保証で利用できること、個人事業主や中小企業に特化していることから、小規模事業者でも利用しやすいでしょう。

 制度融資

制度融資は、民間の金融機関と信用保証協会による融資です。金融機関の融資に信用保証がつくため、審査のハードルが低いです。特に開業したばかりで実績の少ない、信用面で不安のある個人事業主におすすめできます。

ただ、複数の機関による制度なため、審査にかかる時間は長めです。申し込みから資金調達まで、3ヵ月はかかると思っておきましょう。

 信用金庫

個人事業主なら、銀行よりも信用金庫の方が融資を受けやすいかもしれません。信用金庫は地域の繁栄を目的とした、機関と利用者による共同組織です。銀行と異なり営利目的ではなく、地域繁栄が目的のため融資を受けやすいでしょう。

飲食店や小売店など、地域に根ざしたビジネスをしている個人事業主には、特におすすめです。

 ビジネスローン

ビジネスローンなら、ほかの方法よりもスピーディーに、まとまった資金調達ができるでしょう。審査のスピードが早く、一度審査をクリアすれば限度額内で何度でも利用できるものも多いです。いざというときに備えて、1~2社利用できるようにしておくと便利かもしれません。

ただ、ビジネスローンは金利が割高です。「残高スライドリボルビング方式」のような、返済がなかなか進まない方式のものも多く、申し込み先は慎重に選ばなければなりません。

個人事業主が使える、融資以外の資金調達

融資以外にも、個人事業主が使える資金調達はたくさんあります。資金(現金)は調達できなくとも、支払いタイミングを遅らせられるものもあり、いざというときに役立ちます。

事業拡大のチャンスが訪れたとき、事業維持が難しくなったときに備えて、次のような方法があることを覚えておきましょう。

【個人事業主が使える、融資以外の資金調達】 ・補助金、助成金 ・クラウドファンディング ・ファクタリング ・ビジネスカード

 補助金・助成金

補助金・助成金は、どんなケースでも真っ先に検討したい資金調達です。国や自治体が事業者を支援するための制度で、調達した資金は原則として返済不要です。負債が増えることも、返済や金利の支払いで事業が立ちいかなくなる心配もありません。

審査や手続きにやや時間がかかるものの、ほぼノーリスクで利用できるため、優先して検討したい方法です。開業や新規事業の立ち上げ、雇用の維持/拡大など、さまざまなシーンで活用できます。

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 クラウドファンディング

クラウドファンディングは、資金調達とテストマーケティングを同時に進められる方法です。新しい商品をつくりたい事業者(起案者)と、それを応援したい個人(支援者)をつなぐサービスで、支援者は資金提供を通じて起案者を応援します。

たいていの場合、クラウドファンディングでつくろうとしている商品やサービスを、支援額に応じて支援者に提供します。つまり、資金調達の成否を分けるのは、商品やサービス(=支援へのリターン)の魅力です。

どんなリターンをつくればたくさんの資金を集められるのかは、こちらの記事で解説しています。

リターンを魅力的に見せるポイント&テクニック!クラウドファンディングの上手な使い方

 ファクタリング

ファクタリングは、売掛債権の売却により、その金額内で早めに現金を調達する方法です。売掛債権とは売掛金を請求する権利であり、商品やサービスを先に提供して、後から代金をもらうことを指します。請求書の金額内で、本来より早く資金調達できると考えると、わかりやすいでしょう。

資金調達した分は本来の支払い期日に一括で返金しなければなりませんが、ファクタリングは借金ではないため、負債が増えません。返金が一括なのも、借金と異なり長期にわたる返済の負担がなく、メリットともいえます。

ただ、手数料が割高なので、いざというときの「つなぎ資金の調達」のみに利用するのがベターです。

 ビジネスカード

ビジネスカードとは、ビジネス用のクレジットカードのことです。経費の支払いに特化したもので、空港ラウンジを利用できる、経費の支払いでポイントがつくなどの付帯サービスもあります。

資金(現金)を調達できるわけではありませんが、経費の支払いタイミングを遅らせられるため、いざというときの資金繰りには役立ちます。年会費を経費にできること、付帯サービスが魅力的なことも踏まえ、1枚は持っておくといいでしょう。

個人事業主に資金調達が必要なタイミング

個人事業主の資金調達というと、開業時にするものというイメージがあるかもしれません。しかし、資金繰りが厳しくなったときや事業の拡大を考えるときなど、必要になるタイミングは多いです。

個人事業主はどんなときに資金調達が必要になるのか、タイミングごとにどんな方法が合っているのか、いざというとき困らないよう頭にいれておきましょう。

【個人事業主に資金調達が必要なタイミング】 ・開業するとき ・事業を拡大、維持するとき ・運転資金や生活資金が足りないとき

 開業するとき

個人事業主に資金調達が必要になるタイミングといえば、やはり開業時でしょう。特に飲食店や小売店、町工場を開くような場合は、莫大な資金がかかります。自己資金だけでは足りないケースも多いです。

ただ、フリーランス系やネットビジネスのような、資金を抑えて開業できる業種もあります。このような場合、資金調達はあまりせず、なるべく自己資金で開業するのがおすすめです。負債が増えると信用度が下がり、いざというときに融資を受けづらくなりますし、返済や金利の支払いによる負担も軽くしたいです。

ECサイト運営のような仕入れ(それなりの経費)が必要な業種でも、小さくはじめて、利益を元手に少しずつ事業を拡大していく方が安心できます。

開業時はまとまった金額が必要になることも多く、融資系の方法が適しているでしょう。ただ、融資を受ける前に、活用できる補助金・助成金がないかはチェックしておくべきです。

 事業を拡大、維持するとき

事業の拡大には融資系の方法やクラウドファンディングが、維持にはファクタリングやビジネスカードが適しています。ただ、ファクタリングは売掛金の前払い、ビジネスカードは支払いの後回しに過ぎません。使いすぎると、かえって資金繰りが悪化してしまいます。

補助金・助成金はどちらの場合にもおすすめの資金調達で、利用できるものがないかは必ずチェックしましょう。

 運転資金や生活資金が足りないとき

運転資金が足りないときも、資金調達が必要になるかもしれません。ファクタリングでつなぎ資金を確保したり、ビジネスカードで支払いを遅らせたりするのが有効でしょう。

生活資金が足りなくなれば、個人事業主としての仕事を後回しにし、働きに出ることになるかもしれません。「仕事はたくさん来ているのに、目先のお金が足りないせいで事業に集中できない」というケースでは、ファクタリングやクレジットカードを使うのもいいでしょう。生活資金が足りないのなら、ビジネスカードではなく、私用のカードを使うこともできます。

個人事業主が資金繰りを改善するコツ

個人事業主の資金調達は、事業の拡大ではなく、維持が難しくなって行われることもあります。ファクタリングやビジネスカード・クレジットカードなどが主な選択肢となりますが、これらの方法だけで、根本的な解決を図るのは難しいでしょう。資金繰りそのものを、改善しなければなりません。

つなぎ資金を確保したり、支払いタイミングを遅らせたりしながら資金繰りを改善するにはどうすればいいのか、次のような方法が考えられます。

【個人事業主が資金繰りを改善するコツ】 ・固定費を見直す ・仕事量や取引先を見直す ・既存事業のほかにも収入源をつくる

 固定費を見直す

個人事業主の資金繰り改善は、経費の見直しからはじめましょう。特に見直しやすいのが、電気代・ガス代・通信費・家賃などの固定費です。

店舗を構える個人事業主でも、自宅で仕事をしている個人事業主でも、これらの費用は抑えられます。電気代やガス代は自由化により安いものを選べるようになりましたし、通信費は格安SIMの活用で半額以下にすることもできます。

店舗の家賃を下げるのは難しいかもしれませんが、自宅で仕事をしているなら、もっと家賃の低いところに引越すのもいいかもしれません。特にフリーランス系の個人事業主なら、通勤を考えなくていいため、交通の便をあまり気にしなくて済みます。

 仕事量や取引先を見直す

仕事量や取引先を見直せば、収入を今よりも増やせるかもしれません。キャパシティオーバーを恐れて受注を抑えていないか、現状の稼働時間はどのくらいか、まずは今の仕事ぶりを見直してみましょう。時間をうまく使えば、もっとたくさんの仕事をこなし、収入を増やせるかもしれません。

取引先の見直しも重要です。同じような仕事を、より高い単価で請けられる取引先を探してみましょう。既存の取引先も大切にしながら、より条件のいい仕事を探し、リソースの配分を調整してみてください。

 既存事業のほかにも収入源をつくる

すぐにできる方法ではありませんが、既存事業のほかに、新しい収入源をつくるのも大切です。

例えばフリーのライターやデザイナーなら、仕事を通してマーケティングスキルが身についていることでしょう。これを活かし、自分でメディアやYouTubeチャンネルを立ち上げてみたり、コンサルティングの仕事を探してみたり、できることはたくさんあります。

どんな業種でも、仕事を通してスキルと人脈が増えているはずです。個人事業主として生き残る方法や、その業界で活かせるスキルを教えるオンラインサロンを開く人もいれば、人と協力して新規事業をうみ出す人もいます。

今取り組んでいる仕事が労働集約型の事業なら、メディアやオンラインサロンの運営といった「半分不労所得(労働は必要だが、労働集約型と違って時給換算したときの上限がない所得)」、投資や権利収入などの「不労所得」の3本を軸に、収入源を増やすことを考えてみましょう。

個人事業主の資金調達では、資金繰りの改善も念頭に

個人事業主の資金調達では、資金繰りの改善も常に念頭におきましょう。事業維持を目的に資金調達する場合は特にそうですが、事業拡大を目的とする場合も同じです。

負債が増えれば信用は下がり、いざというときの融資が受けづらくなります。返済や金利の支払いがキャッシュフローを圧迫し、資金不足でチャンスをつかめないこともあるかもしれません。

ビジネスにおいて、お金は体力ゲージのようなものです。資金がなくなれば何もできなくなってしまうことを念頭に、資金繰りの改善に努めましょう。