(画像=Nattakorn/stock.adobe.com)

会社を設立した後、法人口座と併せて用意しておきたいのが法人向けのクレジットカードです。法人カードを活用すると会計処理がスムーズになり、経費精算も楽になります。法人カードは個人カードとどう違うのか、事業を行う上で役立つ法人カードの活用法と併せて確認していきましょう。

法人カードと個人カードの違いとは

法人カードと個人カードは、以下の3点が異なります。

  • 利用限度額
  • 法人口座との連携
  • ビジネス向けの付帯サービスの有無

法人カードならではの特徴や使い方を把握しておきましょう。

利用限度額

通常、個人カードの利用限度額は50万円から100万円程度です。一方で法人カードは仕入や大きな金額の取引に使うケースが多いため、利用限度額が200万円から500万円程度と高めに設定されています。自社の1ヵ月の決済額をシミュレートした上で、利用限度額がそれに合う法人カードを選びましょう。

法人口座との連携

法人口座とクレジットカードを連携させるためには、法人カードが必要です。法人カードの利用代金の引き落とし方法には「会社決済型」と「個人決済型」があり、使い分けることで事業用とプライベート用を区別できます。会社決済型は法人口座から、個人決済型は個人口座から引き落とされます。

ビジネス向けの付帯サービス

法人カードと個人カードは、カードに付帯するサービス内容も大きく異なります。法人カードは、使用した経費の明細データのCSV出力や、オフィスの事務用品に対する火災保険といったサービスを利用できます。中には出張時の交通機関や宿泊施設の手配などのサービスもあるため、自社の事業に役立つサービスが付帯している法人カードを作れば何かと便利です。

法人カードの種類とは

法人カードには、個人事業主や中小企業向けの「ビジネスカード」と大手企業向けの「コーポレートカード」があります。

ビジネスカード

ビジネスカードとは、個人事業主や従業員20名以下の中小企業の人向けの法人カードを指します。ビジネスカードの審査は法人や事業主の信用情報をもとに行われるのが一般的ですが、代表者個人の信用情報をもとに審査する個人与信のカードもあります。会社を設立して間もない人であれば、個人与信のビジネスカードのほうが作りやすいでしょう。

コーポレートカード

コーポレートカードは大企業向けの法人カードです。従業員が20名を超えたら、コーポレートカードに切り替えましょう。追加カードの発行枚数が多く設定されており、利用限度額もビジネスカードより高めです。

法人カードの5つのメリット

(画像=chachamal/stock.adobe.com)

法人カードには以下のようなメリットがあります。

  • 経費精算がシンプルになる
  • 経費削減効果がある
  • 付帯サービスを受けられる
  • キャッシュフローにゆとりが生まれる
  • ガバナンスを強化できる

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

経費精算がシンプルになる

法人カードで支払うと、経費精算処理がシンプルになります。従業員による仮払いや立替払いがなくなるため、会計処理もスムーズになります。使ったお金はすべて明細に記録されるので、処理漏れを防ぐ効果も期待できます。

経費削減効果がある

事業に関わる支払いを法人カードに1本化すると、従業員の経費精算に対する振込手数料がかからなくなるため、経費を削減できます。法人口座は振込手数料が高めに設定されていることが多いため、法人カード導入による振込手数料の削減効果は高いといえます。

キャッシュフローにゆとりが生まれる

法人カードは、支払日をある程度自由に設定できます。例えば引き落としを給料の支払日と別の日に設定しておくと手元のお金にゆとりが生まれるため、キャッシュフローが改善します。

付帯サービスを受けられる

個人カードと同じように、法人カードでもポイント還元サービスや付帯サービスなどを利用できます。法人カードで得たポイントを使って事務用品を購入する、マイルに換えて出張費に充当するといった方法で、経費削減が可能です。

ガバナンスを強化できる

法人カードを活用すると、企業のガバナンス強化にもつながります。ガバナンスとは、健全な企業経営のための管理体制のことです。法人カードで経費の支払いを一本化すると、全体のお金の流れを把握しやすくなります。誰が何のために使ったのか分からない使途不明金がなくなるので、不適切な経費利用を防止できます。

法人カードのデメリットとは

法人カードの主なデメリットは以下の2つです。

  • 分割払いやリボ払いを利用できない
  • キャッシング機能がない

ただし最近は、分割・リボ払いやキャッシング機能に対応した法人カードも登場しています。

分割払いやリボ払いが利用できない場合がある

法人カードの多くは、分割払いやリボ払いに対応していません。そのため、高額な機械などを法人カードで購入した場合、翌月もしくは翌々月に一括で支払う必要があります。キャッシュフロー上どうしても分割払いを利用したい場合は、対応可能な法人カードを選びましょう。

キャッシング機能がないことがある

キャッシング機能があると、出先で急に現金が必要になった時に便利ですが、法人カードの多くはキャッシング機能がありません。ただし、「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」のようにキャッシング機能を持つ法人カードもあるので、選択肢に入れるとよいでしょう。

法人カードを作るなら?代表的なサービス紹介

(画像=keatikun/stock.adobe.com)

法人カードにはさまざまな種類がありますが、比較的使いやすい法人カードを2種類紹介します。

  • セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
  • freee VISAカード

それぞれの特徴は以下のとおりです。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは年会費が手頃で、多様な機能を持つ法人カードです。年会費は2万2,000円(税込)と、プラチナカードながらかなり安く設定されています。世界中の空港ラウンジを利用できる「プライオリティ・パス($429相当)」や専属秘書の感覚で活用できる「コンシェルジュサービス」など、付帯サービスも充実しています。年間200万円以上の決済があれば翌年度の年会費が半額になるため、使い方次第では非常にリーズナブルな法人カードといえるでしょう。

freee VISAカード

freee VISAカードは、経営者の本人確認資料だけで審査されるビジネスカードです。そのため、創業したばかりでも、審査に通りやすいカードといえます。「クラシック」と「ゴールド」があり、いずれもクラウド会計ソフトfreeeと同期できるため、会計処理をスムーズに行えます。VISAカードが提供する各種ビジネス向けの付帯サービスも充実しており、税理士や社会保険労務士に1回、無料相談できる特典も利用できます。

法人カードを有効活用しよう

法人カードを活用すると、経費削減や会計処理の円滑化、企業のガバナンス強化が期待できます。ポイント還元や各種特典サービスも利用できるため、現金払いよりも圧倒的にお得です。freee VISAカードのように創業時から利用しやすいビジネスカードもあるので、積極的に活用しましょう。