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業務で使うパソコンには、外部に流出してはいけない機密データや個人情報がたくさん入っています。インターネットにつなぐ際、そうした情報を外部に漏らさないようセキュリティソフトをインストールして対策をしている企業がほとんどでしょう。

本記事では、セキュリティソフトを使ってより安全性を高めるためにはどうしたらいいのか、具体的な対策について解説します。

パソコンにウイルスが感染したらどうなる?

パソコンのセキュリティを脅かしさまざまな悪影響を与えるプログラム全般が「マルウェア」です。コンピューターウイルスもマルウェアの一種で、普通のデータに偽装した悪意のあるプログラムのことを指しています。こういったウイルスに感染したパソコンは、どのような症状を起こすのか、参考事例とあわせて紹介します。

パソコンが起動しなくなる

ウイルスに感染したパソコンにありがちな症状の一つが、起動トラブルです。アプリケーションの動作など全般的に操作が重たくなり、場合によっては強制終了や画面のフリーズが頻繁に起こるようになります。

身代金を要求される

コンピューターウイルスの代表例として有名なのが、身代金を要求する「ランサムウェア」です。このウイルスは、パソコンの中のデータを勝手に暗号化するだけでなく「お金を払わなければ元に戻せない」という警告文を表示してくるのが特徴です。

仮にお金を払ったとしてもデータが元に戻る保証はありません。法人の被害も多く発生しており、最も警戒すべきコンピューターウイルスの一つです。

パソコンが乗っ取られる

ウイルスに感染したパソコンは、持ち主が操作をしていないにもかかわらずさまざまな挙動を起こします。例えば、以下のような挙動を起こすケースが少なくありません。

  • 自動的に悪質なWebサイトにアクセスし他のウイルスも追加でダウンロードしてくる
  • パソコン内部の履歴などを使いウイルスを添付したスパムメールをばらまく
  • 仮想通貨を勝手に採掘(マイニング)しはじめる

これらの処理はパソコンのメモリなどに負荷をかけるため、起動が重くなるなどのトラブルが発生するケースもあります。

個人情報が流出する

コンピューターウイルスに感染すると、悪意のあるプログラムがパソコン内の個人情報を勝手に拾い出し、パスワードやIDなどを外部に流出させることがあります。こうした漏えい情報からネットバンクや会員制サイトなどに不正アクセスされ、金銭的被害が発生することも少なくありません。もちろん会社の機密情報が外部に漏えいすれば社会的信用も失墜してしまいます。

セキュリティソフトを入れれば大丈夫?

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コンピューターウイルスなど悪意のあるプログラムへの対策として最も一般的な方法が、セキュリティソフトのインストールです。例えばWindows10の場合「Windows ディフェンダー」「Windows ファイヤーウォール」といったセキュリティ機能が最初から備わっています。しかし、必要最低限のセキュリティとなるため、専用の対策ソフトは情報保護の観点から必須です。

また、セキュリティソフトを入れておけばすべて安心というわけではありません。なぜならセキュリティソフトには、デメリットもあるからです。ここでは、セキュリティソフトのメリット・デメリットについて解説します。

セキュリティソフトのメリット

セキュリティソフトのメリットは、日々進化し続けるコンピューターウイルスからパソコンを保護できる点です。「AV-Comparatives」「AV-TEST」など第三者評価機関から性能を認められたソフトであれば、一定品質のセキュリティ機能が担保されているため安心して使うことができます。

セキュリティソフトのデメリット

セキュリティソフトのデメリットは、「コストがかかる」「パソコンのスペック次第では動作が重くなる」という点です。先ほど示した第三者評価機関が動作の軽快さについてもテスト結果を公開しているため参考にしましょう。また、セキュリティソフトを入れても以下のようなことがあればソフトを入れている意味がなくなります。

  • 何かしらの理由でウイルスの定義ファイルを更新できていなかった
  • 期限切れとなったままのライセンスを使っていた

特に企業のように大量のパソコンを扱っている場合、セキュリティソフトの更新管理をしっかりと行うことが必要です。

セキュリティソフトに加えてUTM導入で安心

例えば、自宅で1~2台程度のパソコンを使っている場合であればセキュリティソフトだけでもパソコンを自衛できるでしょう。しかし、企業のようにパソコン台数が数十台以上と多い場合、セキュリティソフトだけではウイルス対策は不十分です。その場合は、UTMの併用が推奨されています。ここからは、UTMの機能面の特徴やメリット・デメリットを解説します。

UTMとは?セキュリティソフトとの違い

UTMとは、ウイルス対策やフィルタリング、スパムウェア対策といったセキュリティ機能を一つにまとめた商品のことです。「Unified Threat Management(統合脅威管理)」を略してUTMと呼びます。UTMの役割は、オフィス内のネットワーク環境と外部のインターネット環境とをつなぐ境界線の部分でセキュリティを強化する門番といえるでしょう。

一方で個々のパソコンにインストールされているセキュリティソフトは、門番をすりぬけてきた脅威に対する警報装置とイメージすると全体像がつかみやすいかもしれません。

UTMのメリット

UTMの主なメリットは、以下の2つです。

  • 装置を導入するだけでセキュリティの更新や維持にかかるコストなどの運用管理の手間を減らせる
  • オフィスのネット環境全体のセキュリティを向上させることができる

特にITの管理者が常駐していないようなオフィスの場合、UTMを設置するだけでコストパフォーマンスに優れたセキュリティを実現できます。

UTMのデメリット

UTMは、さまざまなセキュリティ機能を統合している商品です。そのため逆を言えばUTMで何かしらのトラブルが起こった場合、オフィス全体がセキュリティ面でリスクを抱えることになります。UTMを導入する際は、実績がありサポートが充実しているベンダーを選ぶことが大切です。

UTMは中小企業にぴったり

人的リソースが少ない中小企業は、パソコンのメンテナンスが追い付いていないケースも少なくありません。しかしUTMを導入しておけばセキュリティ面を向上させることができます。オフィスの規模に合ったユーザー数とトラフィック数に対応できるUTMを選びましょう。

UTMがあればセキュリティソフトは必要ない?

UTMがあればセキュリティソフトは不要だと考える人もいるかもしれません。しかし、UTMは外部のインターネット環境からの保護しかできない点はデメリットです。例えば、USBメモリなどを経由したウイルスに対してUTMでは対策ができません。そのためUTMとセキュリティソフトは併用するのがベストといえます。

まとめ:セキュリティソフトとUTMの併用で安心

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パソコン内に入っているさまざまな機密情報を保護し企業の社会的信用を守るためにも、ウイルス対策はどの企業でも必須です。ただしウイルス対策としてセキュリティソフトのインストールだけでは、不十分の可能性があります。複数台のパソコンを効率よく保護するためには、UTMの導入を検討しましょう。

特に中小企業の場合はITの担当者を設けていないケースも多いため、運用の手間がかからないUTMとセキュリティソフトの併用を心がけることが大切です。