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現在は仕事において固定電話がなくても、スマートフォンさえあれば事足りるケースがほとんどです。それにもかかわらず、なぜ会社には固定電話回線が必要なのでしょうか。今回は法人が固定電話を契約すべき理由や、代表的な電話回線6社の特徴について解説します。

固定の電話回線を法人が用意すべき理由とは

多くの企業が固定電話回線を引いているのは、以下のようなメリットがあるからです。

  • 社会的信用の向上につながる
  • 登記に必須の電話番号が変わらない
  • FAXを使える
  • プライベートと仕事を区別しやすい

それぞれについて、詳しく説明します。

社会的信用の向上につながる

固定電話があると、法人の社会的信用が向上します。固定電話は携帯電話よりも導入のハードルが高い分、事業をしっかり行っていることの証明と見なされるのです。そのため固定電話があると、顧客や取引先からの信頼を得やすくなります。クレジットカードの審査などでは、固定電話があるほうが有利といわれています。

登記に必須の電話番号が変わらない

会社の登記を行う際や銀行口座の開設時には、必ず電話番号の提出が求められます。携帯電話の番号でも各種手続きは可能ですが、携帯番号のままだと携帯電話の紛失リスクが伴います。

本社の電話番号として登記した内容を変更する場合は、変更申請1件あたり3万円の費用がかかります。このようなコストを見越して、会社では起業時から固定電話を引くケースが多いのです。

FAXを使える

IT技術の進歩に伴って、さまざまな取引をメールやクラウドで行うケースが増えています。しかし、業界によっては商品の受発注や納品書のやり取りに、FAXを用いるケースも少なくありません。FAXを使うために、固定電話回線を引いている企業もあります。

FAXの利用が目的であれば、固定電話回線を引かずに使えるインターネットFAXという選択肢もあります。固定電話のメリットとトータルコストを鑑みて選びましょう。

プライベートと仕事を区別しやすい

起業したばかりの事業主は事業用の電話番号を用意せず、プライベートと仕事を同じ携帯電話で対応するケースも珍しくありません。しかし、この場合は仕事の経費としての電話代とプライベートの電話代を区別できないため、会計処理が煩雑になります。また、プライベートの携帯電話に営業の電話がかかってくると、オンとオフをうまく切り替えられません。プライベートと仕事を明確に分けるためにも、仕事用の固定電話回線を引くことをおすすめします。

固定電話の基本料金を下げるには

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固定電話回線を引くと、初期費用とランニングコストが発生します。毎月の通信費を削減するために、以下のポイントを見直しましょう。

  • 基本料金の内訳を確認する
  • 基本料金が安いクラウドサービスを検討する
  • オプションサービスを見直す

基本料金の内訳を確認する

契約している電話会社によって、基本料金の内訳や料金は異なります。内訳は、「回線使用料」「付加機能使用料(オプション)」「屋内配線使用料」「機器使用料」に分類できます。現在の契約内容を洗い出した上で、コストパフォーマンスの良い電話会社への切り替えも検討しましょう。

基本料金が安いクラウドサービスを検討する

NTTの固定電話よりも、クラウドサービスを活用した固定電話のほうが通信費を安く抑えられるケースをご存知でしょうか。例えばPBXサービスというサービスでは、社内の内線同士を接続する際に外線を使用しないPBXという仕組みを採用しています。PBXのおかげで、内線電話の電話代をカットできるのです。

オプションサービスを見直す

「電話代が高い」と感じている場合は、不要なオプションサービスを解約するだけで毎月の固定費を抑えられることがあります。未使用のサービスがあるのなら、本当に必要なのか見直してみましょう。また、回線数などもチェックしておきましょう。

法人向け電話回線6社の比較

法人向けの電話回線サービスを提供している会社の中で、代表的な6社を比較してみましょう。それぞれの特徴を把握して、固定電話回線を選ぶ際の参考にしてください。

NTT加入電話

「固定電話」と聞いて最初に思い浮かぶのは、NTT東日本およびNTT西日本が提供する固定電話サービスでしょう。1契約当たり3万9,600円の設置負担金がかかるため、初期費用はやや高めです。設置負担金がかからない光IP電話や直収電話のサービスを利用できるようになったことで導入のハードルは下がりましたが、光電話が普及したため利用者は減少しています。

  • NTT加入電話の特徴

NTT加入電話の契約タイプは、電話加入権の要否によって2種類に分けられます。加入権を必要としないライトプランは初期費用が安い分、通話料が高めに設定されています。電話回線は、アナログ回線とISDN回線の2種類です。電話とFAXを同時に使う場合は、2通話に対応できるISDN回線が必要です。

NTT光電話オフィスエース

フレッツ光ネクスト、もしくはビジネスイーサワイドを契約している法人は、IP電話の「NTT光電話オフィスエース」を利用できます。

  • NTT光電話オフィスエースの特徴

NTT光電話オフィスエースの強みは、法人向け固定電話サービスの中でも月額の固定費が安いことです。月額基本料1,210円で利用でき、複数の事業所を登録しておけば事業所間の通話料金もかかりません。複数の事業所を展開している法人におすすめの契約プランです。

ソフトバンクおとくライン

ソフトバンク独自の通信設備を使った直収型電話「ソフトバンクおとくライン」は、NTTを通さずに同程度の固定電話サービスを提供しています。

  • ソフトバンクおとくラインの特徴

ソフトバンクおとくラインの最大のメリットは、電話加入権を購入する必要がないことです。また、遠方にかけても電話料金が一律なので、沖縄から北海道にかける場合はNTTの固定電話よりも割安です。NTTの固定電話から切り替える場合は、元の電話番号をそのまま使えるので便利です。

iPBX Circle(クラウドPBX)

iPBX Circleは、インターネット回線を使った固定電話サービスです。インターネット環境があれば回線工事は不要なので、手軽に導入できるサービスといえます。

  • iPBX Circle(クラウドPBX)の特徴

iPBX Circleを利用する際は、専用アプリをインストールします。チャットやビデオ会議などの機能が備わっているため、特にリモートワークが中心の企業で使いやすい固定電話サービスです。

光電話ビジネス・アルテリアネットワーク

光電話ビジネス・アルテリアネットワークは、アルテリアネットワークスが保有する光ファイバーを用いた固定電話サービスです。総務省クラスA基準の通話品質を満たしており、NTTの固定電話と変わらない通話ができます。

  • 光電話ビジネスの特徴

例えば、光電話ビジネスで1番号4チャンネルを利用した場合の月額費用はわずか2,000円(税別)です。加入者間だと通話料がかからないため、全体的なコストパフォーマンスは高めです。多くのチャンネル数を使いたい場合は、検討するとよいでしょう。

オフィスライン

IPネットワークを用いるオフィスラインは、1秒ごとに課金される仕組みになっています。コールセンターのように、1日にかける電話が多い事業所でお得になるサービスです。

  • オフィスラインの特徴

通常の固定電話では数分間隔で通話料金が課金されるため、10秒話しても50秒話しても同じ通話料がかかります。オフィスラインであれば1秒ごとに課金されるため、無駄な通話料を削減できます。

ビジネスフォンや法人携帯と併せて検討しよう

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法人は固定電話回線を引いたほうが、より業務に集中しやすい環境を構築できます。固定電話回線を提供している会社は今回紹介した6社以外にもたくさんあるので、料金体系やオプションサービスなどの特徴を比較した上で導入を検討するとよいでしょう。ビジネスフォンや法人用携帯電話がセットになったプランを用意している会社もありますので、自社の状況とニーズに合うものを選んでください。