(画像=phonlamaiphoto/stock.adobe.com)

インターネットはさまざまなオフィスで業務を支える重要な基盤です。しかしオフィスの規模が拡大していくと「ネットがつながりにくくなって困る」といったトラブルが発生することも少なくありません。

このようなときに役立つのが業務用のWi-Fiルーターです。本稿では、家庭用のルーターとの違いとともに、おすすめの機種について紹介します。

業務用Wi-Fiと家庭用Wi-Fiの違いとは

「業務用Wi-Fi」と「家庭用Wi-Fi」の最大の違いは、同時接続で快適に利用できる端末数です。家庭用のWi-Fiルーターは、接続台数が増えると通信速度が著しく落ちてしまう点がデメリットですが、業務用のWi-Fiルーターであれば、はじめから数十台以上の同時接続を想定したつくりになっています。

そのため、想定しているパソコンの設置台数に合わせてWi-Fiルーターを選べば、安定したネット速度を保つことができるでしょう。

なお、業務用Wi-Fiルーターのほうが家庭用よりも高度な機能や耐久性を必要とするため、当然ながら本体価格は高くなります。家庭用が数千円から高くても1万円程度なのに対し、業務用は本体価格だけでも2~3万円程度です。

業務用Wi-Fiルーターの代表的なメーカー5社比較

(画像=mavoimages/stock.adobe.com)

業務用Wi-Fiルーターを製造・販売しているメーカーは、大小さまざまです。ここでは、代表的なメーカー5社を紹介します。

Buffalo(バッファロー)

Buffaloは、家庭用から法人向けまで幅広い周辺機器を取りそろえているメーカーです。縦置きや壁掛けなど、さまざまな配置を可能にする充実したラインナップで機種の選択肢が豊富といえます。

ELECOM(エレコム)

ELECOMは、PC周辺機器を提供しているメーカーです。Buffaloと同じく幅広いラインナップを用意しており、初期設定が簡単な機種もたくさんあります。

また、電話サポートや訪問サポートなど業界の中でも特にサポート体制が充実しているメーカーです。自社内でのネット環境構築に不安がある場合は、メリットとなるでしょう。

I-O DATA(アイオーデータ)

I-O DATAは、PC周辺機器やネットワーク関連アプリを提供しているメーカーです。次世代の通信規格IEEE802.11axに正式対応しており、ネットワーク内機器を監視する法人向けのサービスも充実しています。天井や壁などに取り付けやすい機種が多く、レイアウトの自由度にこだわる場合にも適したメーカーです。

NEC

NECは、法人向けの実績が多い機器メーカーです。小規模オフィス向けには、Atermシリーズを展開しておりアンテナ内蔵のすっきりしたデザインや安定性が高い通信機能に定評があります。複数の端末に接続する機会が多いオフィス向きの機種が多いのが特徴です。

ASUS(エイスース)

ASUSは、パソコン・タブレット、周辺機器を扱う台湾のメーカーです。高い通信機能に加えランサムウェアなどウイルスからの感染対策にも対応しており、広範囲をカバーするAiRadar(ビームフォーミング)搭載の機種もそろっています。

接続台数100台以下のおすすめ業務用Wi-Fiルーター3選

業務用Wi-Fiルーターを選ぶ場合、オフィスの同時接続台数を基準に最適な機種をセレクトしましょう。ここでは、接続台数100台以下のおすすめ業務用Wi-Fiルーターを3つピックアップしました。

WAPS-1266(BUFFALO)

法人向けのWi-Fiルーターの中では、「縦11×横15×厚さ3.5センチメートル」と小さ目なサイズのため、置き場所に困らない機種です。1台で最大64台のパソコンやスマホなどの端末を同時に接続できます。また通信規格「11ac」に対応しているため、通信速度もストレスなく高速を維持できます。

Archer C5400は、8本の外部アンテナとビームフォーミング機能を搭載しており高速なネットワークを安定して維持できるWi-Fiルーターです。提供元のTP-Linkは、2021年に無線LAN機器プロバイダーとして10年連続世界No.1を獲得したグローバル企業のため、信頼性の高いメーカーといえます。

また、2.4GHzバンドと2つの5GHzバンドで最大1,000Mbpsおよび2,167Mbpsで通信できるため、ストレスフリーなデータ通信が期待できます。

WAB-S1167-PS(ELECOM)

ELECOMのWAB-S1167-PSは、オフィスレイアウト重視の企業におすすめの業務用Wi-Fiルーターです。専用金具とマグネットが同梱されており、壁や天井などさまざまな場所に取り付けることができます。アンテナ内蔵型のため見た目もスマートで、オフィスの景観を良好に保てるでしょう。

接続台数100~250台のおすすめ業務用Wi-Fiルーター3選

(画像=Proxima Studio/stock.adobe.com)

オフィスの接続台数が100~250台の場合は、100台以下の場合とは適切な機種が異なります。100~250台の接続を想定しているオフィス向けのWi-Fiルーターを紹介します。

WAPM-1266R(BUFFALO)

BUFFALOのWAPM-1266Rの最大の特徴は、干渉波自動回避機能を搭載している点です。この機能は、コードレス電話機などWi-Fi以外から発せられるノイズを自動的に検知し干渉しないチャンネルへと切り替える役割を果たします。そのため、電話機などとの相性を気にすることなく高速で安定した通信環境を構築可能です。

BRT-AC828(ASUS)

ASUSのBRT-AC828は通信規格「11ac」に対応し、障害物がなければ2.4GHzで最高100メートルの電波到達距離を誇る機種です。オフィス環境によっても異なりますが、同機種1台でオフィス全体をカバーできる可能性が高いため、コストパフォーマンスにも優れているといえます。また侵入防止システムやコンテンツフィルタ機能を備えているため、セキュリティ面も安心です。

APS200(ALEXON)

ネットワーク機器の受託開発などを手がけるメーカーALEXON(アレクソン)のAPS200は、最大200台の同時接続が可能な業務用Wi-Fiルーターです。有線LANの配線が難しい場所にもデスクトップパソコンが設置できるWi-Fi中継機能(WDS)やルーターの電源が確保できない場所でもLAN配線さえあれば設置できるPoE機能を搭載しています。

そのためコンセント数が少ないオフィスにも設置しやすい機種といえるでしょう。ファイル暗号化システム(A-Cipher)も搭載しているため、データ通信のセキュリティもばっちりです。

ネットワーク強化が必要なら中継機を使おう

Wi-Fiルーターは、壁などの障害物があると電波が弱くなってしまう特性があります。例えばオフィスに複数の部屋があったり階をまたいでいたりする場合は、どうしても通信速度は遅くなりがちです。どれだけ高性能な業務用Wi-Fiルーターを設置しても、オフィスの構造によっては1台ではカバーしきれないこともあります。

その場合におすすめなのが、無線LAN中継器の導入です。Wi-Fiルーターとパソコン・スマホなどの間に設置すれば電波を強化してくれます。ただし、通信規格と周波数帯をWi-Fiルーターに合わせる必要がある点には注意しておきましょう。

通信規格や同時接続台数を踏まえてルーターを選ぼう

業務用のWi-Fiルーターを選ぶ際は、同時接続台数は必ず確認したうえで適切な機種を選びましょう。通信規格は「11ac」がおすすめです。オフィスの障害物の配置によっては、中継器も忘れずに準備しておきましょう。