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「起業を決心したが、まず何から始めたらよいかわからない」という方もいるでしょう。個人事業主であれば開業届を税務署に提出するだけで事業を始められますが、法人を設立するとなると、必要な準備が一気に増えます。今回は事業を開始するまでの流れに沿って、スムーズに会社を設立するために必要な準備について解説します。

起業前に決めるべきこと

まず、起業する前に決めておかなければならない項目を紹介します。その項目は以下の5つです。

  • 会社名(商号)
  • 本社所在地
  • 事業目的
  • 資本金
  • 発起人

会社名(商号)

商号とは、株式会社の「名称」のことです。同じ住所に同じ商号の会社を設立することはできないため、自分が付けたい商号に問題がないか、事前に本社所在地を管轄する法務局で確認しておくと安心です。会社法や不正競争防止法等にも商号に関わる規定があるため、会社名を決める前に併せて確認しておきましょう。

本社所在地

本社所在地とは会社の本拠地、つまり個人で言うところの住所のことです。会社の本拠地も会社名(商号)と同様に、同一商号、同一本店の禁止に関する規制はありますが、基本的には自由に選べます。最近は、複数の会社で同じオフィス空間を共有する「シェアオフィス」や「コワーキングスペース」を利用する企業や、登記用の住所を貸してくれる「バーチャルオフィス」を利用する企業が増えています。本社所在地にバーチャルオフィスを設定しても、登記上は問題ありません。

事業目的

事業目的は、その会社が何を事業とするのかを明らかにするものです。会社は、定款に記載した事業目的以外の事業はできないことになっています。事業目的では、その会社の事業内容について具体的かつ簡潔な説明が求められます。

資本金

資本金とは、返済の必要がないお金(手元資金)のことです。資本金の大きさは会社の規模や体力の目安になり、金額が大きいほど財務上の余力がある企業と判断されます。業界や業態によって基準は異なりますが、資本金は初期費用のほかに、3ヵ月〜半年は売上がなくても事業を続けられる金額に設定するのが一般的です。

発起人

発起人とは会社設立時に資本金の出資や定款の作成など、法人としての事業開始に関する手続きを行う人のことで、主な役割として「会社への出資」「会社の重要事項の決定」「定款の作成・認証など会社設立手続き」が挙げられます。会社を設立した後、出資した資本金の金額に応じた額の株式を保有する発起人がそのまま株主になるケースが一般的です。

これらの手続きは自分で行うこともできますが、創業前は多忙なので会社設立を代行してくれる業者や税理士・司法書士などの専門家に依頼するケースが大半です。

起業時の営業活動に用意したいもの

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続いて、起業前に準備しておくべき「営業活動に必要なもの」について見ていきます。事業を成功させるためには、営業活動やPR活動が不可欠です。最低限用意しておきたい以下の3つについて、詳しく解説します。

  • ホームページ
  • 名刺
  • ロゴ

ホームページ

ホームページは、自社をオンラインでアピールするための手段です。多くの顧客は、自分の困りごとについてインターネットで検索し、解決策を調べます。ホームページがないと、そのような検索からの流入がなくなるため、ビジネスのチャンスを逸します。ホームページ制作は外注するケースが大半ですが、ホームページを簡単に制作できる「ペライチ」などのサービスを使って自分で制作することもできます。

名刺

日本のビジネスシーンにおいて、ほぼ必ず行われるのが名刺交換です。起業時に限らず、名刺はビジネスマンの必須アイテムといえるでしょう。名刺のデザインは自分でもできますが、プロに任せたほうが印象の良いものができるため、なるべくプロに頼みましょう。

ロゴ

ロゴとは、企業名やブランド名などを示す文字や図柄のことです。ホームページや名刺にロゴを入れると、企業のイメージやブランドが相手に伝わりやすくなります。また、社名を言葉やテキストだけで伝えるよりも、ロゴがあるほうが印象に残ります。自社を顧客や取引先に印象付けるためにも、ロゴを用意しておくことをおすすめします。

起業時にあると便利なもの

起業後に使う機会が多い資料は、以下の3つです。

  • あいさつ状
  • 会社概要のチラシ
  • 営業資料

それぞれどのように制作すべきか、ポイントを押さえておきましょう。

あいさつ状

起業後は見込み客や起業前にお世話になった人などに対して、あいさつ回りを行うことになります。事前にあいさつ状を送付しておけばアポイントを取りやすく、訪問時もコミュニケーションが円滑になります。ビジネスにおいて人と人のつながりは非常に大切なので、場合によってはあいさつ状を手書きで書くのも有効です。

会社概要のチラシ

会社概要のチラシは、営業先に自社のことを知っていただくためのツールとして作成します。また取引先のコンペに参加する際や、助成金を申請する際にもあると便利です。会社概要のチラシを配るメリットは、形として残ることです。会社概要のチラシを活用すれば、自社をうまくアピールできます。

営業資料

営業資料は、自社の商品・サービスの強みをアピールするツールです。会社概要とは異なり、自社の商品・サービスを購入するメリットを顧客に伝えるための資料として用いられます。商品・サービスの特徴や価格、顧客が得られる具体的なメリットを訴求するものなので、顧客の属性やニーズに合わせてカスタマイズすることもあります。会社概要のチラシと同様、形として残るのがメリットです。視覚的に訴求することができるため、購入率を上げることができます。

起業時に忘れてはならないもの

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起業時に限りませんが、経営ではお金の管理も重要です。ここでは、経営において重要な管理会計について解説します。

「管理会計」とは社内向けの会計のことで、経営者や財務責任者が自社の経営について判断するために作成します。起業前に支払った費用を経費として計上できる規定もあるので、きちんと記録しておきましょう。最近は、クラウド型会計ソフトの「freee」(フリー)といった使いやすい管理会計ソフトもあります。管理会計ソフトを使えばリアルタイムで会計の状況を把握できるため、経営の意思決定に役立ちます。

起業は計画的に進めよう

今回は、起業時に用意すべきことについて解説しました。起業の際は準備段階から何が必要になるのかを把握し、早めに準備することが大切です。起業時は非常に忙しいので、優先順位を踏まえて何を自分で行い、何を社員や外注業者に任せるのかを決めて、効率的に取り組むことをおすすめします。