電子ブレーカーとは?

電子ブレーカーとは、電力使用による電流値を正確に測れるブレーカーのことです。詳しくは後述しますが、ブレーカーは電流値の超過が起きたときに、その超過により設備に負荷がかかることを防ぐために電気を遮断します。これが「ブレーカーが落ちる」ことの仕組みです。

しかし、通常のブレーカーでは電流値の超過が一時的なものであっても、即座にブレーカーが落ちてしまいます。そのため、容量ギリギリのプランで契約してしまっては、頻繁にブレーカーが落ちてしまうでしょう。

一方、電子ブレーカーは電流値の超過を「超過の大きさ」「超過している時間」などを細かく測れます。設備に影響を与えない範囲の超過であればブレーカーが落ちないため、契約プランの容量を落とせるのです。

 導入メリットは電気代削減

電子ブレーカーの導入メリットは、シンプルに電気代を削減できることです。削減できるのは電気の基本料金です。

そもそも、電気料金は「基本料金」と「従量料金」で金額が決まります。基本料金とは電気の使用量にかかわらず毎月かかる料金のことで、ブレーカーの容量で決まります。仮に電気を一切使用しなくても(従量料金が0円でも)、基本料金はかかるのです(電気の使用量が0の場合、基本料金が半額免除になる場合もあります)。

従量料金とは、電気の使用量に応じてかかる料金のことです。「1kWhあたりいくら」と計算され、1kWhあたりの単価は「最初の120kWhまで」「121kWh~300kWh」「301kWh~」と、使用量に応じて変わっていきます。

電気料金は「基本料金+従量料金」により決まりますが、このうち毎月同じ金額がかかる基本料金の削減につながるのが電子ブレーカーです。電子ブレーカーによりブレーカーの容量を下げることができれば、電気の契約プランもより基本料金が低いものに切り替えられるからです。

電子ブレーカーの仕組み

電子ブレーカーは電流値の超過を正確に検知すること、設備に負荷を与えない範囲ではブレーカーを落とさないことで、電気の契約プラン(容量)を下げ基本料金を削減できます。

そのために、電子ブレーカーにはCPUが搭載されています。CPUにより電流が流れている時間や大きさを正確に感知し、電流値の超過が許容範囲に収まるうちはブレーカーを落としません。

この許容範囲は日本産業規格(JIS)により、「このくらいの電流値超過が、このくらいの時間続いたら、ブレーカーを落とさなくてはならない」というように定められています。電子ブレーカーは搭載したCPUにより、許容範囲内のうちは電流を流し続けるのです。

そのため、電流値の超過がごく一時的なもの、つまり許容範囲に収まるものであればブレーカーは落ちません。

 一般的なブレーカーとの違い

一般的なブレーカーは、電子ブレーカーと異なりCPUを搭載していません。電流値の超過がごく一時的であっても、超過してすぐにブレーカーが落ちてしまいます。そのため、ブレーカーの容量に余裕をもたせた契約プランを結ぶ必要があり、電気の基本料金も割高になってしまうのです。

一般的なブレーカーは熱感知式で、電流により生じる熱で電流値を感知します。この熱は電流だけでなく、外気温にも影響されるため、たとえば「夏だとブレーカーが落ちやすくなる」「寒冷地の冬では電流の遮断がおきづらくなる」といったことも起こり得ます。

 負荷設備契約と主開閉器契約

電子ブレーカーにより電気の基本料金を削減しようとするなら、基本的には「低圧動力の主開閉器契約」を結ぶことになります。ここでは、負荷設備契約と主開閉器契約についてざっくり理解しておきましょう。

負荷設備契約では、その施設の電気設備をすべて稼動させたときに必要な電気量をもとに契約容量を決めます。一方、主開閉器契約ではその時々で必要な分の電気量をもとに契約容量を決めます。

たとえば施設内にあまり使わない設備がある、設備Aは午前のみ、設備Bは午後のみというように設備ごとに使う時間帯がずれているといった場合を思い浮かべてみてください。

この場合、負荷設備契約ではあまり使わない設備も含め、すべての設備を稼動させた状態をもとに契約容量を決めます。あるいは、設備Aと設備Bを同時に稼動させた場合に必要になる電気量をもとにします。

こうなると、実際に必要になる電気量を超えた契約容量となり、電気の基本料金も上がってしまうでしょう。

 

一方、主開閉器契約ではあまり使わない設備や同時には使わない設備といった事情を考慮して契約容量を決めます。より実態に即した契約プランを選べるのです。

この種開閉器契約の特徴を活かして基本料金を削減するのが電子ブレーカーです。電子ブレーカーには「電流値の超過がごく一時的で、設備に負荷のない範囲なら電流を遮断しない」という特徴がありました。

先ほどの例でいえば、たとえばあまり使わない設備をごく一時的に稼動させたり、設備Aの電源を切る前に設備Bの電源を入れてしまったりしても、それが許容範囲に収まるうちはブレーカーが落ちないのです。

電子ブレーカーを使って基本料金を削減するには?

電子ブレーカーを使って電気の基本料金を削減するにはどうすればいいのか、事前にすべきことや電子ブレーカーの相場、導入の流れなどをまとめて紹介します。

 施設の機器の稼働状況をチェック

まずは施設の機器の稼働状況をチェックしましょう。使っている設備、あまり使っていない設備、全く使っていない設備を明確にし、実際に必要になる契約容量を見極めるのです。

どの設備が同時に稼動するのか、同時に必要になる電気量はどのくらいなのかもチェックします。

 電力規模をチェック

電子ブレーカーを導入する前に、対象となる施設の電力規模もチェックしましょう。ここでいう電力規模とは、対象施設の契約容量のことです。契約容量が小さすぎると、契約プランを切りかえたことによる基本料金の削減効果があまり得られません。削減効果と電子ブレーカーの導入費用のどちらが大きくなるかを計算しましょう。

なお、電子ブレーカーを導入するなら少なくとも10kWh以上の、できれば15kWh以上の電力規模が望ましいです。

 電子ブレーカーの金額と支払い方法

電子ブレーカーの導入費用は、現地調査や工事にかかる費用を含めて50万円強が相場です。一括で支払うこともできますが、リース契約を結ぶ企業も多いです。

リース契約なら、月々の削減額の中から電子ブレーカーの費用を支払うこともできます。これなら導入の負担が小さく、実質的には成果報酬のようなイメージで費用を支払っていけるでしょう。

 電子ブレーカー導入の流れ

電子ブレーカー導入の流れは次の通りです。

  1. 問い合わせ・営業
  2. 現地調査
  3. 削減できる電気料金やかかる費用の見積もり
  4. 電子ブレーカーの契約を結ぶ
  5. 電子ブレーカーの設置
  6. 電力会社への契約プラン変更申請
  7. 契約プランの変更

電子ブレーカー導入時の注意点

電子ブレーカーはすべての企業、すべての施設におすすめできるものではありません。電力規模や設備の稼働状況によっては電気代の削減効果があまり得られないこともあります。

電子ブレーカーの導入が適している企業・施設でも、次の注意点を意識しないと、導入に失敗したり余計な費用を支払ってしまったりするかもしれません。

 適切な容量のブレーカーを設置しよう

電子ブレーカーを導入する際は、適切な容量のブレーカーを設置しましょう。容量ギリギリのブレーカーを設置してしまうと、頻繁にブレーカーが落ち、業務に支障をきたすかもしれません。プレスや切断機など、電源が急に落ちてしまうと危険な設備もあります。

電子ブレーカーの導入ではブレーカーが落ちないこと、つまり安全面も考慮しなくてはなりません。電子ブレーカーや設備について深い知識を持った、信頼できる業者に現地調査や提案をしてもらいましょう。

 悪徳業者に要注意

電子ブレーカーを扱う業者の中には、いわゆる悪徳業者もいます。相場よりもかなり高い金額で電子ブレーカーを販売したり、実際よりも大きな削減効果の見積もりを出し契約を促したりする業者です。

このような業者に引っかからないようにするためにも、電子ブレーカーの導入時は相見積もりを取りましょう。複数の業者から見積もりを取れば相場感がつかめます。いろいろな業者から話を聞くことで、正しい知識が増え、いい加減なことを言っている業者を見極められるようにもなるでしょう。

電子ブレーカーの導入効果を最大化するには、エネルギーの使用状況の見える化が大切

電子ブレーカーの導入効果を最大化するには、信頼できる業者と契約を結ぶことが大切です。複数の業者から見積もりを取り、削減効果だけでなく、安全面にも考慮した提案をしてくれる業者を選びましょう。

電子ブレーカーに限らず、施設で使用しているエネルギーには無駄があることが多いです。「エネルギーの無駄遣いをしていることはわかっているが、何が無駄かわからず、削減の工夫ができない」という企業も多いでしょう。

そんな企業にはエネルギーの見える化から費用削減を実現するエネルギー最適化プラットフォーム「EM CLOUD」がおすすめです。電力や水、ガスなどの使用データを温度や湿度の状況などから自動で集計し、見える化するシステムです。見える化したデータをもとに、どこをどのくらい削減すべきかがわかります。

このようなエネルギーの削減は経営資源の配分を最適化するだけでなく、SDGsへの取り組みとしても有効です。経費削減やSDGsに関心のある方は、こちらのページからぜひ詳細を確認してみてください。

 

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